菅島伝説の謎

はっけ地蔵

菅島の南西に突出した岬に「はっけの鼻」というのがあります。鼻というのは小さい岬のことで、その位置は安楽島の加布良古岬に相対しているところです。

この海では、常に禁漁区となっていて、一年の内、2・3日だけ口開けするだけであるため、鮑が繁殖していて、みんなが解禁の日を待ち遠しく待ち構えたというものです。

ある老婆の話によれば、この海中の深いところに高さ6尺(約1m80cm)もある大地蔵の石仏が沖の方を向いて立っており、大シケの時でも一度も倒れたことがないというものです。

海女たちがその地蔵さんを引き揚げて、景色の良い崎の上に安置して、手厚くお祀りしてはと庄屋に相談しました。そこで、庄屋は村人を集めて相談したら、みんなが喜んで賛成したので、数日のうちに引き揚げの作業をすることに決めました。

引き揚げを決定したその夜に庄屋は不思議な夢を見ました。その地蔵さんが庄屋の家の庭から上がり、庄屋を呼んで、「私はいまだ修行が足りないので、こうして海中に立っている。引き揚げてくれる親切はありがたいが、しばらくこのままに置いてくだされ。」と言って、庭の方へ戻って行ったそうです。

庄屋は、翌日、村民にこの夢のことを話して中止にすることにしたそうです。

 

ともかづき

昔、海女が海にもぐっていると、「ともかづき」というものに出会ったというものです。

自分のほかに誰ももぐっていないはずなのに、1間(約1m80cm)ほどへだてた水中に、一人の海女の姿が見えて、同じように鮑取りをしているそうです。不思議に思い、息つぎのため水面に浮かび上がって、あたりを見ても船も磯おけも何も浮かんでいませんでした。そこで、もう一度、海にもぐると、やはり別の海女がいたそうです。

その海女は、「ともかづき」という妖怪で、鮑をもらったり、良い漁場へと誘われて、一緒に行くと潜水時間が長くなり、命を落としてしまうと言われています。

このような妖怪の話が昔から言い伝えられ、海女たちは魔よけのために、磯手ぬぐいや鮑おこしなどの道具に「ドーマン」「セーマン」という印をつけるようになったということです。

星形のセーマンは、一筆書きで元の位置に戻り始めも終わりもないことから魔物の入り込む余地がなく、ドーマンの格子は、多くの目で魔物を見張ると言われています。海女達の口伝えに寄れば星形は一筆書きで元の場所に戻ることから「無事に戻って来れるように」との祈りを込めたとも言われています。

ドーマン、セーマンは、陰陽道(おんみょうどう)と関係するのではないかとも言われ、星形のセーマン印は安倍晴明判紋、格子状の印は九字紋と同じ形状だそうです。このドーマンは芦屋道満(あしや どうまん)、セーマンは安倍晴明(あべの せいめい)の平安時代の陰陽師(おんみょうじ)の名に由来するとも言われています。

この印は、伊勢志摩地方の海女は、必ず印をして海女作業をしています。

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